カトリック司祭の米田彰男(よねだあきお)師の著書「イエスは四度笑った」(筑摩書房刊)が、朝日新聞の「著者に会いたい」に紹介されていたため、手に取ってみた。
かつて「寅さんとイエス」を著したことのある米田神父が、聖書には記述はないものの、新訳聖書のこの箇所で実在した人間イエス・キリストが「実際にお笑いになった」と、聖書学に基づき追求している。当然、笑いがあれば「怒り」もあるはずで、どの箇所でイエスは怒ったかについても、併せて指し示している。著者が書いておられるように、4箇所とも、確かに笑ったと思えると確信することができた。
面白かったのは、4つの笑いの一つとして、山浦玄嗣著「ケセン語訳新訳聖書」の中の弟子の足を洗う描写が紹介されている。ケセン語で、生き生きと人間イエスと弟子たちの立ち居振る舞いを活写し、なんともおかしかった。
もう一つは、イエスが十字架にかかる前の日の「最後の晩餐」の食べる様子である。実際には、レオナルド・ダ・ヴィンチによる描写とは異なっていたという。まだお読みになっていない方には、読んでかららのお楽しみ、として内容について述べるのは差し控えたい。
筆者は、日曜日に教会に行くようになって60年以上経つが、最近、教会に行くたび、読まれる聖書の中に、笑いや怒りの他に、「ざわめき」を感じるようになってきている。特に顕著なのが、「カナの婚宴」(ヨハネ福音書2章1-11節)の話である。登場人物はイエスとその母マリア、弟子たち、婚宴に参加している街の名士の面々、そのざわめきの中に、ある心配事を発見するマリア。さてどうなったか? 「カトリック精神を広める⑮」をご覧いただきたい。
(横浜教区信徒・森川海守 ホームページ https://mori27.com)
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